血管外科(さいたま市立病院)のホームページ

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・下肢静脈瘤の治療方法

・当院のストリッピング手術

・硬化療法

下肢静脈瘤 Q&A 

当院のストリッピング手術

静脈瘤は(幹)+(枝)でできています。そのため幹と枝の治療が必要です。

(1)大伏在静脈抜去・・・・・(幹)を抜き取る

当院におけるストリッピング手術は膝下の切開を数mmで行っており、レーザー治療の傷よりやや大きい程度です。ソケイ部は約1cmの切開を行います。
膝下の枝は切開を最小限にするstub avulsion法を採用しております。

ストリッピング手術の動画 ソケイ部を切開して大伏在静脈根部の枝をすべて処
理します。
大伏在静脈は逆流している範囲のみを抜去する選択
的ストリッピングを行います。これにより、伏在神経の障
害を1%程度に減少させています。

当院の方法では、膝下の傷はレーザー治療の傷より
やや大きい程度と従来のストリッピング手術よりはるかに
小さくなります。

大伏在静脈の枝を完全に処理するため、レーザー治
療で懸念される数年後のこの枝からの再発の心配はあ
りません。
       (拡大する)

ソケイ部(幹の根元)で枝の処理が必要な理由

大伏在静脈根部の図 ソケイ部(足の付け根)の拡大図です。
大伏在静脈の根部には数本かの枝が必ずあります。
逆流はこの根部の枝にも及びます。

     
根部の枝を完全に結紮・切離して、大伏在静脈を抜去すれば逆流は完全に止まります。
根部の枝の処理が行われていないと、枝への逆流は残存してしまいます。数年後に足の付け根付近に静脈瘤が再発してしまいます。
レーザー治療などでは、どうしても根部の静脈は一部残ってしまう場合があり、術後数年での再発が懸念されます。


(2)枝の処理

 膝下の枝の処理は、以下のどれかで行います。
(1)極小の切開を数か所置き、枝を切除する方法(stub avulsion法)
(2)極小の切開を数か所置き、枝を切除する方法+硬化療法
(3)硬化療法のみ
      (レーザー治療では、枝はstub avulsionまたは硬化療法で治療されています。)

以下に図で解説いたします。

(硬化療法で枝を処理する方法)
硬化療法の動画 硬化療法のみで行う場合には切開は行いませんので
傷跡は残りません。 
硬化療法では、静脈内に血栓ができるため、静脈が固い
索状物となったり、色素沈着が起きます。静脈が太いほど
大きな血栓ができるので痛みや色素沈着も高度になりま
す。血栓は数か月で吸収され消失します。色素沈着
2ヵ月から最長2年ほどで消えます。しかし、一部では
わずかな色素沈着が残る場合もあります。
静脈瘤の枝が細く、範囲が限局している場合が良い
適応です。
高度な静脈瘤の場合には切除の方が早くきれいに
治ります。
 
       (拡大する)

(枝を切除する方法)
大伏在静脈の枝の切除の動画 2〜3mmの極小の切開を数か所置き、逆流のある太い枝を
切除します。(stub avulsion法)
従来の手術とくらべるとほとんど傷跡は目立ちません。
蛇行する静脈が太く、範囲が広い場合に適応されます。
小さな枝は硬化療法で処理し、傷をできるだけ少ない数
に抑えます。

枝が細い場合にはレーザー治療の場合と同様に硬化療法
のみで枝の治療を行います。
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・ストリッピング手術やレーザー治療との違い

(1)ストリッピン手術・・・(幹)は抜去+(枝)は切除か硬化療法

(2)レーザー治療・・・・・(幹)は焼く +(枝)は切除か硬化療法

二つの治療法で異なるのは幹の部分の処置のみで、枝の治療は同じです。
レ-ザー治療では,幹(伏在静脈)の処置では切開は行いませんが、枝の処置では切開の創が残ったり硬化療法による色素沈着が起こるのは、ストリッピング手術と同じです。

「切らない」といっても全く切らないわけではない場合もあり、硬化療法による血栓形成部は2週間ほどの弱い痛みや色素沈着は起こます。
まったく切らない、まったく痛くないを強調している施設もありますが、魔法ではありませんのでいずれの方法でも数日から2週間の弱い痛みは伴います。
上記の双方の治療法の特徴をしっかり理解したうえで治療方法を選択してください。
レーザー治療を受けられる場合には、血管外科で静脈瘤のことを熟知している専門家の治療を受けられることをお勧めいたします。

当科のストリッピング手術 レーザー治療
良い点 ・保険の適応である
     (数万円以内)
・高度な静脈瘤でも可能
・再発の可能性が少ない
・保険適応となりました
・切開しない(伏在静脈に関して)
・伏在神経障害がやや少ない
良くない点 ・ソケイ部を切開する
・小さな傷が数か所できる
・伏在神経障害(レーザー治療と大きな差はない)
・術後、一時的に皮下出血が起きる場合がある

・数年後にソケイ部の枝からの再発の心
 配がある
・高度な静脈瘤には不向き

いずれの治療法も良い点・良くない点があります。



伏在神経とは、抜去する伏在静脈に沿って走行する細い知覚神経です。これが障害されると内側のくるぶし周囲のごく限られた範囲の知覚が鈍くなります。運動機能には全く影響はないので、日常生活にも全く支障はありません。





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